RAIDの役割
RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、複数のディスクを組み合わせて構成する仕組みです。RAID1・RAID5・RAID6などの構成では、1台のディスクが故障しても、残りのディスクでシステムを稼働させ続けられる、という冗長性(耐障害性)を提供します。
QNAP公式サポートが説明するとおり、RAID5・RAID6でディスクが1台故障した状態は「デグレード(劣化)モード」と呼ばれ、まだデータにはアクセスできる状態です。速やかに故障ディスクを交換すれば、リビルド(再構築)によって元の冗長性が回復します。
バックアップの役割
バックアップは、データの別のコピーを、元のシステムとは物理的・論理的に独立した場所に保存しておく仕組みです。
なぜRAIDだけでは不十分なのか
RAIDが守れるのは「一部のディスクの故障」だけです。以下のようなケースでは、RAIDだけでは対応できません。
- 複数のディスクが同時に故障した場合:本サイトの別記事「RAIDのリビルドに失敗した後に避けるべき操作」で触れているとおり、リビルド中に別のディスクにも問題が見つかると、被害が全体に広がることがあります
- 誤ってファイルを削除・上書きした場合:RAIDは「削除」という操作自体もそのまま全ディスクに反映するため、誤操作からは守ってくれません
- ランサムウェア等による暗号化:同様に、暗号化された状態がそのまま複製されます
- 火災・水没・盗難などNAS本体ごと失われる事態:物理的にNASそのものが失われると、RAID構成のディスクもろとも失われます
- NAS本体の電源系統やコントローラーの故障:ディスクは無事でも、本体側の故障でアクセスできなくなることがあります
具体的な考え方
一般的に推奨される考え方として、「3-2-1ルール」(データを3つ持ち、2種類の異なる媒体に保存し、1つは別の場所に置く)のような原則があります。RAID構成のNASは、このうちの「稼働を止めない仕組み」の1つとしては有効ですが、それ単体を「バックアップ」として扱うべきではありません。
よくある質問
# Q. NASの中に複数のRAIDボリュームを作れば、バックアップになりますか?
なりません。同じ物理的な筐体・同じ電源・同じネットワーク環境にある限り、火災・水没・盗難・本体故障といったリスクに対しては守られません。
# Q. クラウドストレージへの同期は、バックアップの代わりになりますか?
同期先が「元のデータの独立したコピー」として保持されるものであれば、バックアップの一形態として機能しえます。ただし、誤削除がそのまま同期されてしまう設定になっていないか(削除の同期タイミング等)は確認が必要です。